Rubus Street 2019
なんということだ。
何種類ものキイチゴ属に会える道、Rubus StreetがKeep Out状態だ。
4年前から通っているこの道も、いつの頃からか草刈りが入らなくなってしまったようである。
しかし、ここで退く選択肢など、無い。実際2mくらい進んで一回諦めて引き返したけど。そんなチキンな自分を認めつつ、勇気を出してリトライ。イノシシが幅を利かせる土地ゆえ、マダニにおびえながらも完全防備で突入する。
裏切らない。
決してRubus Streetは裏切らない。
裏切らないどころか、驚きであった。モミジイチゴはキイチゴ属の中で一番早く実り始め、他のキイチゴ、例えばクサイチゴが実る頃にはほとんど姿を消している印象があった。
まだ、いる。しかも、それなりにたくさん。
次に現れるはニガイチゴ。
実はRubus Streetのメインストリートで見たのは初めて。周りには数年前たくさん生えているのを見たけれど。
毎年大きくきれいな実をぶら下げるヒメカジイチゴは、今年は小ぶりなものが多かった。あと、ここだけではなく、山の中全体的に毛虫が多かった。マイマイガ、タケカレハ、カシワマイマイ、クワゴマダラヒトリなど、これぞ毛虫!という毛虫が勢ぞろいしていた。
安定のクサイチゴを加えて、今年は4種類のキイチゴ属と出会うことができた。いずれも、結実の状態は良いとは言えなかったが、種数は増えたかたちとなった。
個人的にメガ・クサイチゴと読んでいる巨大クサイチゴを今年もいくつか見つけることができた。
しかしながら、商店街がシャッター街と化すがごとく、Rubus Streetは存続が危ぶまれる。林縁が林内となっては、キイチゴ属も生きづらかろう。ここは、こっそりと草刈りを実行し、誰のためでも無い自分一人だけのために、このRubus Streetを回復させたい気持ちとなった。
ビロードイチゴ
京都の山中、道路沿いの林縁に今が旬のいちご。どう見ても、キイチゴ属のいちご。モミジイチゴの結実期は過ぎたようで、葉っぱはあれど実は見えない。そのすぐ横に、見慣れないいちごがたわわになっていた。
これまでご縁が無かった、お初のいちご。果実の表面がとってもビローディ。ビローディ・・・
ビロードイチゴ(Rubus corchorifolius)・・・?
葉っぱの様子、実大きさや質感、これがかのビロードイチゴか。そんなに珍しいものでは無いようなのに、これまでただの一度も出会ったことが無かった。
舌触りはやはり少し毛を感じながらも、甘く酸っぱく、キイチゴらしい味がした。
まだまだキイチゴ属との出会いは残されている。その喜びを感じる出会いであった。
木の実を見つける、木の実で描く
ワークショップのおしごと。
手順はシンプルに、
1 木の実をさがしにお外へおさんぽ
2 木の実を持ち帰ってお絵描き
もちろん、種も仕掛けもたくさんあるのだけど。
ものづくりは、どちらかというとついでで考えていた。やっぱりお外に出て木の実を愛でまくらないと。コマユミ、マユミ、アケビ、ノイバラ、ガマズミ、ミヤマガマズミ、オニグルミ、カキノキ、ヒサカキ、ナツハゼ、ネズ、アオツヅラフジ、ウメモドキ、イヌツゲ、アキグミ。それとたくさんのどんぐりと松ぼっくり。秋ですなぁ。参加者が幼児とその保護者だったため、60分コースの予定が90分になってしまった。読みが甘かった。
こどもたちは好奇心旺盛で、紹介するすべての木の実を食べたがった。いやいや、食べられないのもあるんだから。これは食べられないよと制止しながら進んで行く。
90分、快晴の中を元気に歩き通し、見つけた木の実を大きなキャンバスの上に広げる。
それぞれの木の実を、紙の上に押しつぶした。これはどんな色?種が大きいね。こっちの種は小さいね。この実とこの実を重ねたら、色が変わった!かぶれそうな木の実は手袋着用で、どんどん色を乗せていきます。
仕上がりも楽しみだけれど、葉っぱや使わなかった木の実、使った後の木の実が残る経過も一興。あとで色は変わってしまうかもしれないね。
自然のものを利用して、楽しんで、好きになる。
やりたかったことが、一つ形になった気がした。
(追い詰められて、その日の朝に考えたプログラムなのは秘密…)
フジの実は爆発する
誰に頼まれて書いているわけでもないこちらのブログ。それでも3ヶ月以上も放置するとどこからか罪悪感が湧いてくる。罪悪感の泉が体内に存在するのだろう。
この数ヶ月の間、いいこともわるいこともあった。まぁ、それはそれ。これは、これ。木の実の実りの時期や注目ポイントを思い出す装置として利用するために始めたのだから、ちゃんと記していきたいところ。
さて。
2月の27日、西日本のとある山間を歩いていたら、ぽきぽき、ぽきぽき、と林内から音がした。野生動物が歩いていて、枝を踏んでいるのかと思ったが、そうではないらしかった。何の音かわからないまま、歩みを進める。10分ほど歩いて、また同じ音がした。ぽきぽき、ぽき、ぱきぱき、ぱき、ぱき。先ほどより、音が多く、大きい。視界に入ったそれが、音の正体だった。
フジ。思えば、しばらく雨の降らない時期が続いた。一緒にいた人が、2週間は降っていないと言っていた。雨が降らずに、乾燥がピークに達した頃、フジの実が開裂、否、爆発するのか。それはそれは、気持ちの良い大きな音であった。
拾ってきた、中身。フリスビーのように、ピュンと飛んでいた。用水路のすぐ横だったので、水に浮かべてみたら、浮いて流れて行った。着地した種は地面をコロコロと転がるのだろうか。形状からいろいろ推察するが、実際のところは検証が必要。
動画はこちら。
アイノコフユイチゴ
頼れる相棒が急に姿を消したのは8月のことだった。フィールドワーカーの所持率100%超えのTG-3はまだ発見されない。コンデジを持たない日々、私の記録力はガタ落ちしている。ガタ落ちがいつも通り林縁を歩いていると、足元に可愛い赤い実が。
「フユイチゴだ!」
「いやまてよ、葉っぱの先が尖っている」
「ミヤマフユイチゴか・・・」
しかしミヤマフユイチゴの額は無毛という。
今年もアイノコフユイチゴとして良いだろうか。
前に見つけたのは12月半ばを過ぎていた頃。10月末から結実なさるとは結構お早い。フユを名乗るには早計ではないか。まだ実りはじめという気配ではあったが。
みずみずしく、上品な甘み。
冬の訪れを知らせるイチゴさんである。
(写真は携帯カメラにて撮影)